四時間目が終わったら その三(全三話)
四時間目が終わったら
その三 「音読みと訓読みって何だ?」
国語が大嫌いな僕だけど、
唯一の楽しみが存在した。
小学二年生、
担任のひとみ先生は
漢字の成り立ちを教えてくれた。
黒板には川の絵があった。
だんだん変形して、
「川」の漢字に成った。
僕は感動した。
漢字の宿題にはまった。
いろいろな漢字の成り立ちを描くのだ。
竹、家、門...。
色鉛筆を使い、
絵を描くことに夢中になった。
音読み、訓読みなんて
全く覚えなかった。
漢字を芸術的に描くことだけに
こだわった。
結果、国語のテストで点数がわるかった。
やっぱり国語なんて
いらないと思った。
漢字の宿題も
とうとうなまけるようになった。
将来、学校での勉強が本当に役に立つか
疑問だらけだった。
でも、この漢字の宿題は、
今の仕事にとても役立っている。
「デザインする」ことに。
短い間だったが、
よくぞ漢字の宿題にはまってくれたと思う。
その時がなかったら、
今デザインで苦労しているだろう...。
ありがとう、ひとみ先生。
僕は大人になって、
音読みと訓読みがわかるようになりました。
<終わり>