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第三話 パーフェクト・イマジネーション （全三話）
何もしない記憶
第三話 パーフェクト・イマジネーション （全三話）
中学生だから許されたのだろう。
親に甘える、
何もしない夏休み。
だが、唯一気づいたことがある。
掃除・整理整頓をすると、
心からさわやかになることを。
縁側でぼーとしながら
完璧な食器洗いを想像していた。
最初にコップ、
次に、小皿、大皿。
そして、スプーンや箸。
最後に鍋。
スポンジに洗剤を加えるタイミング。
水を無駄にしないすすぎ。
親から見れば、
さっさと洗って欲しいだけ。
しかし、かあちゃんは
呆れたのか何も言わなかった。
縁側で物思いにふけているうちに
４０日間の夏休みが終わってしまった。
やっぱりオレはダメだった...。
大人になった今、
僕は家事を難なくこなしている。
縁側で何も気づかなかったら、
今でもダメなオレだったに違いない。
「部屋のぞうきんがけでもするか...。」
[終わり]
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あとがき
「東京タワー」を読んでいて、
ふと縁側の自分を思い出した。
無気力、
夏バテ、
無趣味、
不真面目。
４０日間、
食う寝るの連続。
大人になってもそんな一日もある。
申し訳なくなって、
やっぱり自分が嫌になる。
でもまてよ、
何もしないことがそんなに
悪いことなのだろうか。
長い人生、
ちょっと休んだっていいじゃないか。
まじめに働き、
素直な心で家族とすごせば
これ以上の幸せはない。